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企業価値向上に寄与するのは業績が先?働きがいが先?1100万件超の社員クチコミサイトをAIで分析すると-第2回:「働きがい」と「働きやすさ」の数値化は、どのように行うのか?

 企業は「働きがい」や「働きやすさ」と「業績」の、どちらを優先すればよいのでしょうか?
 オープンワーク社長の大澤様より、「働きがい」や「働きやすさ」と「企業業績」との関係について研究された論文についての解説をご寄稿いただきました。全3回のシリーズでお届けします。

 今回は第2回、「働きがい」と「働きやすさ」の数値化は、どのように行うのか?です。


 1,100万件を超える社員クチコミ・評価スコアを有する就職・転職プラットフォームOpenWork CEOの大澤です。

 第2回の今回は、そもそも「働きがい」「働きやすさ」をどのように数値化してるのか、順をおって解説していきましょう。
(前回のコラムはこちら。)

機械学習素人でもわかる『働きがい』『働きやすさ』の定量化レシピ

 今回は、そもそも「働きがい」「働きやすさ」をどのように数値化してるのか、順をおって解説していきましょう。
 まず基礎知識から。厚生労働省が平成26年5月に発行している「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書」によると下記のように定義をしています。

働きがい=働く価値がある
働きやすさ=働く苦労・障壁が小さい

 このような抽象度が高く、主観が大きく影響するものを定量化するのは一苦労です。そこで本研究では、人それぞれの主観をスコア化する、という発想転換をしています。(※人工知能に馴染みのある方なら割と一般的なアプローチです。)

 手前味噌ですが当社が運営するOpenWorkは日本最大級のクチコミ数を誇り、また品質面も国内の研究機関や海外のヘッジファンドが投資に活用するほどの品質となっています。OpenWorkのクチコミは下記の通りの構成です。

 8つの定量評価(待遇面の満足度、社員の士気、風通しの良さ、社員の相互尊重、20代成長環境、人材の長期育成、法令順守意識、人事評価の適正感)

 8つの定性評価(組織体制・企業文化、入社理由と入社後ギャップ、働きがい・成長、女性の働きやすさ、ワーク・ライフ・バランス、退職検討理由、企業分析[強み・弱み・展望]、経営者への提言)

 3つの実数値(年収・給与、残業時間、有給休暇消化率)

 なお、この定性クチコミ/評価スコア項目構成は、OpenWork(旧Vorkers)が創業時に経営学や社会システム論、行動経済学や各種研究論文等々を駆使してゼロから作り上げ、”働く”を網羅的かつ数値的に図れるようにしたものです。

 本研究ではこれらの中から、「働きがい」「働きやすさ」を下記のクチコミからスコア化をしました。

働きがい=働きがい・成長
働きやすさ=ワークライフバランス、女性の働きやすさ

 それぞれクチコミ例を見てみましょう。

 では、これをどのようにスコア化していくか。まずは論文から数式を引用しましょう。

 わかりやすさ重視で簡単に説明したいと思います。センチメント分析(テキストから感情(positive, negative, neutral, mix…)を分析する手法)を活用します。Stepは2つ。

 Step1:教師データの作成。一定のルールをもとに、この文章は「働きがい」がある。この文章は「働きやすさ」がある。と機械に食べさせるデータをつくります。

 Step2:教師データから学習した機械が、インプットされた文章を「働きがい」がある、「働きやすさ」があるといったようにスコア化していきます。

 今回はこのようなセンチメント分析による「働きがい」「働きやすさ」の変化度を軸に研究をしています。

 なぜ絶対値ではなく、変化度と財務指標との相関性を研究するかというと、

 ・先行研究で、変化度の方が財務指標への影響が強いことが明らかになっているため。
 ・実際に従業員が感じるのは絶対値よりも変化度のため(もとから高い・低いよりも、昔と比べて良くなったか・悪くなったかの方が当人たちには影響する)

だからです。

 次回は改めて、本調査の結果について考察を述べたいと思います。


※本記事はOpenWork大澤陽樹氏の転載許可を得て、一部改変を行い掲載しています。
オリジナルの記事はこちら

参考リンク
・大澤陽樹note『企業価値向上に寄与するのは業績が先?働きがいが先?1100万件超の社員クチコミサイトをAIで分析すると』
・国内最大級の社員クチコミ等を有する転職・就職プラットフォーム『OpenWork』
・優秀層に直接アプローチできる採用プラットフォーム『OpenWorkリクルーティング』