コロナ禍によって、会社を選ぶ側にある社員から見て会社を選ぶ軸はどのように変わったのでしょうか?オープンワーク社長の大澤様より、同社クチコミサイトに寄せられた生の声を分析した結果をご寄稿いただきました。
社員の会社評価軸の変化はどのように調査できるのか
はじめまして。日本最大級の社員クチコミをベースとした就職・転職サービスOpenWorkの代表をつとめる大澤と申します。本日は、当社が保有する1,000万件以上の社員クチコミ・評価スコアをもとに、コロナ禍において社員の会社評価軸がどのように変化したかをお伝えしたいと思います。
新型コロナウィルス感染症の世界的拡大により、人々の生活様式は大きく変わりました。働き方においても、リモートワークの導入等、大きな変化への対応が求められています。皆さまの働き方はどのような変化がありましたでしょうか。
新型コロナウィルス感染症の流行前(2019年)と流行後(2020年)で、社員クチコミにどのような単語が増加したのかを調査しました。OpenWorkにて公開されているクチコミの中でも特に企業の内実がよくわかる「組織体制・企業文化」項目に投稿されたクチコミを集計し、頻出単語を2019年と2020年で比較。増加した単語から見える社員の声を考察します。
コロナ禍で増えた社員の声とは
結果に入る前に、データの収集方法についてお伝えします。
「OpenWork」の会社評価レポートへの回答を通じてデータを収集しています。会社評価レポートは下記3点の特徴があります。
- 社員・契約社員として1年以上在籍した企業の情報であること
- 500文字以上の自由記述項目と、8つの選択項目に回答いただくこと
- 月間残業時間(実数)、有休消化率(実数)についても収集
分析対象データは次のとおりです。
2019年1月~2020年12月までにOpenWorkに投稿された「組織体制・企業文化」の現職社員によるクチコミを対象データとし、名詞の出現頻度を集計しました。
20回以上登場する単語に限定しても4,996単語が抽出されましたが、その中でも2020年出現率との差分が0.2%以上のワードをまとめています。
皆さまは、上記の頻出単語からどのようなことをイメージしますか。これらの単語がポジティブな意味合いで使われているか、ネガティブな意味合いで使われているかでだいぶ変わってくるのですが、考察をしてみましょう。
「運動神経」の良さが社員の新たな会社評価軸
コロナ禍で増えた頻出単語を大きく分類すると、「テレワーク関連」「経営・上司関連」「企業姿勢・風土関連」に分けることができます。
テレワーク関連は、「テレワーク」「リモート」「在宅」「紙」といった単語です。コロナ禍に入り、テレワークの導入可否に対する声、またテレワークへの移行にあたっての対策への声が増えているようでした。
経営・上司関連は、「トップダウン」「指示」「スピード感」といった単語です。大きな変化への対応が求められた2020年では、これまで以上に経営トップや上司の強くて早い意思決定が求められたことが推測できます。
最後に企業姿勢・風土関連は、「文化」「年功序列」「縦割り」「法令遵守」といった単語です。こちらの単語も、外部環境への適応が求められた1年となった中で、なかなか変わることができなかった組織風土や企業姿勢への不満の現れではないかと推測できます。 これらをまとめると、コロナ禍において、臨機応変に素早く自らを変化させることが出来たか、スポーツに例えるなら攻撃に対する瞬発力や判断力が重要なように、“企業としての運動神経の良し悪し”が新たな会社評価軸になっているのではないかと考察することができます。ダーウィンの進化論のように、変化する環境に適応できたものが生き残るということが、企業経営でも起きているのかもしれません。皆さまの職場はいかがでしょうか。