去る1月27日に「SPAG Dialogue」というオンラインカンファレンスに当研究所の日高がパネラーの一人として登壇しました。SPAG Dialogueは、アジア各国に拠点を持つPRコンサルティング企業のStrategic Partners Groupが企画運営してる、業界内外の最新トピックや世界的なトレンドに関するインタラクティブなプラットフォームです。
※SPAG Dialogueについてはこちらをご覧ください。
今回は新型コロナウイルス感染拡大以降リモートワーク比率が高まる中、喫緊の経営課題である「従業員エンゲージメントにおけるリーダーシップの新たな役割」について議論が展開されました。楽天以外には、本イベントの共催先であるGreat Place To Workや、グローバル企業であるIBM, KPMG, Becton Dickinsonから組織人事領域のアジア統括責任者がパネリストとして登壇し、積極的な意見交換が行われました。
コロナ対応の先にある、持続可能な組織づくり
本ダイアログから得られた示唆の一つは、昨今の経営課題である「サステナビリティ(持続可能性)」を組織人事の領域にも当てはめて考えることの重要性です。新型コロナウイルスも、変動が大きく先行きが不透明なVUCA時代の環境変化の一つと捉えると、リモートワークへの転換といった短期的な対応に留まらず、いかに持続可能な組織と個人の関係性を築いていくかが求められる、というものでした。
持続可能な組織に必要な3要素:トラスト、セイフティ、ウェルビーイング
持続可能な組織と個人の関係性を考えていくために、今後一層追求すべきテーマとして「トラスト(信頼)」が挙げられました。起点になるは「セイフティ(安全)」の確保、つまり従業員の物理的な安全性であり、加えてリモート環境であってもいかに心理的安全性を担保するかも課題となります。企業としてこのような「ウェルビーイング(心身が良好で自分らしさが発揮されている状態)」への支援が重要であることがパネリスト間でも確認されました。
またオンラインでの共感・理解・ケアなどの繋がり方についてモデレーターから質問があり、楽天グループの取り組みとして、当研究所が昨年7月に社内外にリリースした「コレクティブウェルビーイング・ガイドライン」のフレーム(三間+余白)を用いた職場作りや、オンラインでのメディテーション(瞑想)のアクティビティをご紹介し、共感を得ました。
※コレクティブウェルビーイングについてはこちらをご参照ください。
リーダーの新たな役割:カルチャーエンゲージメントとローコンテクストな情報共有
本カンファレンスの主題である「従業員エンゲージメントにおけるリーダーシップの新たな役割」については、「カルチャーエンゲージメント(人を惹き付ける企業文化の醸成)」が挙げられました。具体的には、情報共有の際に成果や事実の背景にあるストーリー(コンテクスト、文脈)をこれまで以上に意図的に噛み砕いて、丁寧に伝えていくことが提案されました。多様な立場の従業員が同じストーリーを共有し、共通の方向性を見出していけるような工夫が必要となります。楽天グループの取り組みとしても、新規入社者に対する創業経営者との経営哲学についての輪読や対話会について紹介したところ、コアバリューのローコンテクストな共有へのコミットメントに驚きの声が挙がりました。
当研究所では、今後もこのようなグローバル企業との対話を通じて、新たな組織と個人の関係性のあり方について探索を続けていきたいと考えています。